企業の資産に重点を置いて企業価値を計算し、実際の株価と比較して割安な銘柄に投資する方法がバリュー投資。端的に言うと、バリュー投資とは、1万円の投資価値がある株式を5千円で買う投資のようなもの。
常識で考えると、このようなうまい話は無い筈。ところが、現実の株式市場では、様々な理由で非効率的な株価形成がされる事がある為に、1株当たりの投資価値と株価が等しくならないケースがある。
現在の株価が割安な銘柄を探して投資する方法である。
本当ならもっと高い株価であるはずなのに割安で放置されている、いわば「掘り出し物」を探し出す投資手法。
恋愛投資業界でも同様に、高価値であるのに人気薄の案件に投資することを”バリュー投資”と呼ぶ。ただ、人気薄には人気薄なりの理由があるので注意が必要。
ドイツ・ポン生まれ。半導体・電子部品専門のマーケットアナリスト。「SPA!」で「恋愛の利回り」を連載中の絶好調の新進気鋭コラムニストでありフリーライター。
美しくインテリジェンスの高い女性への積極的な投資を敢行する恋愛投資家でもある。
著書に『恋愛は投資である』『悪魔のモテ理論』などがある。40代で濃い顔、筋肉隆々らしい。
年長熟女のミレ嬢に指名が入ったのをタイミングとして、我々は店から引き揚げることにした。
中古車ブローカー氏とは六本木の交差点で別れ、横断歩道を乃木坂方面へ渡ったところでタクシーを拾う。
運転手に行き先を告げると青山通りに出る前には寝入ってしまった。
1分で睡眠状態に入れることは私の特技のひとつである。熟睡の境地、外苑の入り口から首都高速4号線に入った辺りで胸ポケットのケータイが鳴った。
パネルには見慣れない番号が表示されている。こんな時間に電話をかけてくるのは締め切り間際の編集者と決まっているのだが、今週は珍しくすべての原稿を期日どおりに入稿しているので彼らの筈はない。
受信ボタンを押すと、やや緊張した熟女女性の声がする。
「ヤマグチさん。あの、私です。熟女ミレです」
「や、さっきはどうも。どうしたの?仕事はもう終わったの?」
「お店はまだなんですけど、来てくれたお礼を言いたくて…」
お礼ならメールで済ませば良さそうなものだが、来店直後に直接電話するのが一流熟女店の流儀なのだろうか。
「今度はいつ来て下さいます?」
「うーん。いつとは約束できないな。ご存知のとおり、リーマンショックで市場はガタガタだからね。我々も安穏とはしていられない」
「お店じゃなくても良いんです。どこかで話を聞いていただけませんか?」
強引な熟女女性だ。彼女と同席したのはほんの1時間半程度である。
拙著を愛読してくださるのは有難い限りだが、生憎書籍代に個別コンサル料は含まれていない。
「なんならお昼にヤマグチさんの会社の近くまで伺います。スタバとかで待ち合わせても良いし」
なるほど確かに彼女は熱心な読者のようだ。私が昼休みに投資案件とオフィス近くのスタバで超短時間熟女デートを敢行していることも本誌の連載を通してご存知である。
「いきなり会社の近くと言われても困るよ。話なら今聞こう」
「…それじゃここでお話しします。私、付き合う人がみんな有名になるんです」
「ははぁ…」
「私と付き合うとそれまでマイナーだった人が急にメジャーになるんです」
「…なるほどねぇ…」
彼女は何が言いたいのだろう。”私と付き合うと有名になれますよ”ということか。
「なるほどねぇ、って。信じていないのね。ジャイアンツの○○さんとか、エスパルズの××君とか、お相撲の▲▲関もそう」
いずれも大器晩成型の一流選手である。彼女の話が本当なら、究極のあげまん熟女女性ということになる。
彼女は無意識に、”バリュー投資”を敢行してきたのである。バリュー投資とは、収益力や資産価値が高い銘柄であるにもかかわらず、安値に放置されている、”割安株”を探し出して投資する手法だ。
「その人たち、みんなマイナー時代は私と付き合っていたんです。でもだんだん有名になると私から離れて行ってしまうの」
「…ふーむ。有名アスリートを陰で支えた熟女、か。フライデーあたりが喜びそうな話だね」
「真面目に聞いてください。どうしてあの人たち、有名になると私から離れて行ってしまうのか知りたいんです。私が熟女ホステスだからですか?」
どうしてって、話は簡単だ。職業は関係ない。
事実、野球選手やJリーガーはホステスと結婚する人が何人も居るではないか。
初対面の人間に対して、”誰それと付き合った”と具体名を挙げて吹聴するその姿勢が嫌われるのだ。
アスリートとしての名前が上がってくれば、女性関係に慎重になるのは当然だ。
しかしここでそれを彼女に指摘しても始まるまい。
指摘したところで、そうした習性は直るはずがない。
「フェルディナントは説教くさいオヤジ」と他の客に吹聴されるのがオチである。
「相性だね」
「相性ですか?」
「そう、相性が悪かった。これが合わない人と付き合ってしまった君の不幸だ。ゲイリー・ゴールドシュナイダーの”相性辞典”を読んでごらんよ。牧人社から出ているから」
「ありがとうございます!読んでみます!読んだら感想をメールします!」
他人が書いた本の(しかも辞典の)感想は送って下さらなくても結構だ。いやはや大変な相手に当たってしまったものである。